孫策はグイグイと腕を引く周瑜に引きずられるように歩いていた。



鍛錬を終えたあと、周泰や太史慈と談笑していたところで、

いきなり「伯符!!ちょっと、こっちに来い!!」と後ろから腕を引かれそのまま今に至る。

引きずられるままに木陰に来ると、周瑜はいきなり座り込み

ポンポンと己の膝を叩く仕草だ。



「ここに、横になれ!!」



おっ!膝枕をしてくれるのか!?

それにしては、叱られそうな雰囲気が漂ってくるんだが・・・

理由は何であれ、嬉しい誘いには違いないと、周瑜の膝に頭を預け仰向けに寝転んだ。

この角度、好きなんだよなぁ〜っと周瑜の美貌を見上げていると、

はぁ〜 と頭上からため息が落ちてきた。

ん?なんなんだよ〜?

先ほどから周瑜の行動の訳が掴めず、頭の中の疑問符は増える一方だ。

孫策の戸惑いが伝わったのか、周瑜の声音が多少和らぐ。



「そうじゃなくて。横を向いてくれないか?」



どうせなら、お前を見ていたいのにと思ったが、

にっこりと微笑まれ、逆らいがたい雰囲気に素直に身体を横にする。

周瑜の指が、耳にかけるように髪を梳く。

耳にそっと触れてくる指を感じた瞬間、耳の中に吹きかけられた息に、孫策は思わず振り返ったが。



「痛っ、痛いって〜〜こぉ〜き〜ん。」

振り向いたところで、周瑜に耳を引っ張られ思わぬ痛みに声が漏れる。

「いいから。じっとしていてくれ。」

なんだよぉ〜だったら引っ張らなくても口で言えばいいだろぉ〜

不満はあるが、折角獲得した周瑜の膝を手放すのはもったいないとじっと我慢だ。



再び周瑜の指が耳に触れ、耳の中に何かが侵入してくる感覚が。

もしかして、これって・・

細い棒が、繊細な動きで耳の中を動きまわる。

ちょっと痒いようなくすぐったい感覚が続く。

そういえば・・最近掃除していなかったなぁ〜すっかり忘れていたぜ。

でも、公瑾はなんで分かったんだ??

ふぁ〜でも、耳掃除をしてもらうのって、気持ちがいいものだな。

心地よい感覚に、次第に眠気が襲ってくる。

でも、この心地よさをもっと味わっていたい。寝てしまうのは・・・・

もった・・・いな・・・い・・・・



すぅ〜すぅ〜





あっという間に眠り始めた孫策に少し驚く。

だが、それだけ心地よく感じてくれたということか。

それにしても、どれだけ溜め込んでいたんだ?

聞こえずらくはなかったのだろうか?

起きたら、3日に一度・・いや、せめて5日に一度は掃除をするように諭さなくては。

周泰や太史慈と談笑しながら、無意識に小指で耳の中を掻く仕草をしていたのだ。

痒みだって感じていたのだろう?



だが、このように、無防備に身を預けられるのも悪くはないな。

「ふふ、また溜め込んだら私が掃除してやってもいいぞ。」

すでに夢の中な孫策が聞いていないのをいいことに、

周瑜は耳元でそっと囁いた。







3月3日→耳の日ってことで。
耳掻きって、自分でやっても気持ちいいけど、人にしてもらうと更に。
そして、愛があればあるほど、気持ちよさは増していくと思うvV






inserted by FC2 system