先月、親父に言われたんだ、周瑜に花を貰っただろう?と

思いを受け取ったならば、返礼を一ヵ月後にする慣わしなのだそうだ。

花を贈るのもよいが、宝石などでもいいだろうなぁ〜宝石にも花と同じで、

象徴となる言葉があるんだぞ。と楽しげだったのを思い出す。

宝石かぁ〜あいつの美貌には映えるんだが、普段あまり装飾品をつけないからなぁ

装飾にするよりも、守り石になるようなものがいいかもしれないな。

孫策には、目的の石があった。

ちょうど、守り袋に収まるようなものがいい。

大きすぎても、小さすぎてもダメだと孫策は宝石店で石を吟味していた。




夜になり、周瑜の部屋を訪れた孫策は、周瑜の手を引くと、

背後から抱き込むように、寝台に腰掛けた。

「ちょっと、手を出してくれ」

孫策は持ってきた袋の紐を緩めると、

言われるままに差し出されていた掌の上に、取り出した石を乗せた。

「これをお前に。先月貰った薔薇の返礼だ。受け取ってくれるだろう?」

掌の上に乗せられたのは親指大のキラキラと光る透明な石だ。

「花の返礼が宝石では釣り合いがとれないだろう?このような高価なもの・・いいのか?」

「ああ、値段ではなく、俺の気持ちを受け取ってくれれば嬉しい。

これ、金剛石っていうんだ。どんな鉱物よりも堅いから、永遠の絆の象徴って言われてるんだぞ。」

周瑜は石を持ち上げ、光に翳して興味深げに眺めている。

「これが、金剛石か・・・・綺麗なものだな。」



気に入ってくれたようで嬉しいが、後半には反応なしかよ??

永遠を押し付けるのはちょっと重すぎたか?と不安にかられ、言葉を繋ぐ。

「守り石になればと思って、お前が無事であるようにと、祈りを込めてみたんだが・・・

受け取ってくれないか?」



背後からの孫策の声音に不安を感じ取り、慌てて振り向く。

「ありがとう。伯符の気持ちがとても嬉しい・・・だが、私の何が伯符を不安にさせてしまったんだ?」

じっと見上げられ、なんだか気恥ずかしくなってしまう。

らしくないな。俺としたことが・・・照れ隠しに軽く聞こえるようと口を開いた。

「永遠は重すぎたかなぁ〜って思ってさ。」



なんだ、そこに反応しなかったことを拗ねていたのか・・と納得しつつも、

周瑜は、わざと声音に少し憤りを交えて返す。

「??何を言っているんだ??今更だろう。

私達はすでに、金属を断つほど強い契りを結んだ仲じゃないか。忘れたとは言わせないぞ。」

「わ、忘れるわけないだろ〜!!怒るなよぉ」

慌てた様子を見せる孫策に無性に愛しさが込み上げた。



周瑜はその衝動まま孫策へと口付けると、折り重なるように寝台へと押し倒す。

夢中で交わす口付けにすぐに息が上がってしまいそうだ。

でも、今は離れたくないのだと思いを込める。

応えるように、腰に回された腕に引き寄せられ、更に深まる口付けに、

くらくらと心地よい眩暈が襲う。

重なり合う唇が、触れ合う肌が伯符を感じて暖かい。

熱を持たないはずの手の中の石でさえ、暖かく感じるのは、伯符の思いが込められているからだろうか。

伯符の永遠の絆という言葉は嬉しかった。

だが、この石が何よりも硬いと聞いた時、咄嗟にそれ以上のことを望んでしまったんだ。

さすがに欲張り過ぎかもしれないと飲み込んだのだが、

伯符なら、きっと喜んで受け入れてくれると思うのは私の自惚れではあるまい。

口付けによる熱に煽られ、思考も大胆になっていく。



口付けの合間に、余韻に濡れたままの唇で、熱に浮かされたように囁きを落とした。

「伯符・・・その金剛石ですら断ち切ることができるほどの強い絆を望んだら・・・欲張り過ぎだろうか?」

一瞬の間の後、どんな反応をしてくれるのだろうと見つめる周瑜の視界で、

孫策の表情がキラキラと満面の笑みを湛えて輝きだす。

「欲張り過ぎなもんか!!俺はお前のためなら金剛石すらカチ割ってみせるぜ!!」

勢いの良い宣言と共に痛いくらいの抱擁が周瑜を襲う。

その息苦しさすら、心地良いと感じていた。




嬉しいこと言ってくれんじゃねぇか!!

こいつはどれだけ、俺を惚れさせれば気が済むんだ!?

こりゃ、親父にも貸し一つだぜ〜

薔薇の返礼のはずが、俺のほうが色々もらっちまった気分だ。

こうなりゃ、ここから挽回してやる!!



孫策は抱きしめた身体を反転させ、寝台に周瑜を埋めると、

石を握り締めたままの手に誓うように接吻を落とした。

意図を察し、綻ぶ口元へも接吻を。

そして、全身に接吻を降らせるべく、孫策は周瑜の服へと手を掛けたのだった。







孫策が愛しくて、思わず抱きついてキスしちゃう周瑜さま・・・
ちょっと、積極的すぎですか??
あと、念のため 金剛石=ダイヤモンド でございますv






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