呉後伝7章、寿春攻撃に出陣しようと、準備をしていた、周瑜、沈瑩、張悌は、

孫策が伴ってきた、今回の残り1.5コス枠の男の強烈な容姿に度肝を抜かれた。

ごついガタイに盛り上がる筋肉、そして、同じ角度で跳ね上がっている髭と髪が特徴的な大男だ。

「コイツ、さっき易で、うっかりイベント出し忘れたらしいから、一緒に出陣したいそうだ。」

「専横許すまじ!!司馬一族は俺が潰す!!よろしく、お願い致す!!」

そう言うと、ジロリと共に出陣する面子を見渡した。

値踏みするような、視線が張悌と周瑜に注がれる。

そして、周瑜に定めた視線が、怪しく光った気がした。


「この美しい方を斬れるのか?ふっ、それは楽しみだ。」

戦場への扉が開く瞬間、伏兵状態で待機している周瑜の後姿を眺めながら男が呟いた。

隣に配置していたため、呟きを耳にしてしまった孫策は、この男を参戦させたことを、激しく後悔したが、

時すでに遅く、今更メンバー変更は不可能だ。

くっそ。俺が軽率だったぜ。

こうなったら、公瑾は俺が守る!!絶対に、毋丘倹の思い通りにはさせねぇぜ!!


決意を固める孫策と時を同じくして、周瑜も考えを巡らせていた。

単体超絶強化のために、コス2である私の撤退は割りに合わない。

犠牲になってもらうのならば、唯一のコス1武将である張悌なのだが。

伯符はあの2人を気に入っているようだし・・・

イベントを出すだけならば、全員で自城に戻ってしまえば、撤退者を出さずに済む。

士気4を無駄にするか・・・・・張悌を犠牲にするか・・・・

ここは、士気を無駄にするほうが、命を無駄にすることを嫌う、伯符の心には適うだろう。

幸い相手はやる気のないCOMだ。

士気を無駄にしたからといって、無闇に攻め上がらなければ、危機に陥ることはない。

奴が、怪しい動きを見せたら、皆に引くように指示を出そう。


一方、張悌は覚悟を決めていた。

この面子で、撤退しても痛くないのは、私だけですね。

周瑜様がいれば、私の計略は無用ですから。

でも、彼らと戦場を駆けていると、夢が・・・・夢で終わらない気がしてくるから不思議です。

これが、孫呉の時代を築き上げた方達の勢いというものでしょうか?

私の撤退が、彼らの、孫呉の役に立つなら本望です。

でも・・・・沈瑩は気付いていないのでしょうね。あの男の計略に。

動揺せずに、あの男が武力に任せて蹴散らした隙に、攻城に向かってくれると良いのですが。

私が、この身を挺して作る機会、存分に生かして貰わなければ、割りに合いませんから。


そして、張悌の読み通り、一人何も気付かぬ、沈瑩は、この戦も、命を惜しまず攻城を稼ぐんだ!!

っと燃えに、燃えていた。


そして、各々の思惑を孕んだまま、戦の幕が開いた。






戦も中盤に差し掛かったころ、毋丘倹の目が怪しく光った。

一直線に、周瑜に向かいズンズンと近づく。

最初に異変に気付いたのは、片時も目を離さず毋丘倹を見張っていた孫策だ。

孫策は、咄嗟に周瑜を抱き込むようにして、城内に転がり込んだ。

張悌・・・すまねぇ。だが、公瑾をみすみす撤退させる訳にはいかないんだ。

孫策によって、いきなり城内に引きずり込まれた周瑜は、出遅れた己に臍を噛んだ。

しまった、奴が遂に切れたのか?残りの2人にも、引くように指示を出さねば。

命令しなければ、引かぬだろう、彼らは。

張悌など、己の身を犠牲にして、奴の計略を生かすべきだと、覚悟を決めてしまっていそうだ。

しかし、外に出ようと身を起こしたところを、後ろから孫策に抱き止められた。

「伯符!!はな・・・・・・・むぐっ」

上げた声を遮るように、掌で口を塞がれてしまった。

「静かにしろ。見つかったらどうする。頼むから、城内に居てくれ。」

必死な懇願に、私とてみすみす奴に斬られるつもりはないのにと、伝わらない意思がもどかしい。

私が外に出るのが、不安だというなら、伯符から彼らに引くように言ってくれればいいんだ。

頼むから、私の話を聞いてくれ!!

引き離そうと、手を掛けるが、ビクともしない。

力で駄目なら・・・と周瑜は塞いでいる孫策の掌をペロリと舐めた。

予想外周瑜の行動に、何事かと顔の覗きこんだ孫策は、

必死に何かを訴えかける瞳に出会った。

「・・・・んん・・・ん・・・・んんっ」

何か伝えたいことが、あるのだろうか?とやっと気付いた孫策は

「絶対に、大きな声は出すなよ?」

と念を押し、頷く周瑜の口を塞いでいた手を、そっと離した。

同時に緩んだ拘束から抜け出すように、身体を反転させ、孫策へと向き直る。

ガシッと頭を掴むと、諭すように言葉を紡いだ。

「伯符は、彼の計略を把握しているのか?」

「・・・武力が大幅に上がる代わりに、知力の一番高い味方が撤退するんだろう。」

「ああ、だが、撤退する相手がいない場合は効果が低いというのも?」

「えっ??」

「イベントを出すだけならば、撤退しなくても可能なんだ。まあ、士気4はほぼ無駄になるわけだが。」

「なっ・・・それって・・・・」

「伯符は、士気4の無駄と、張悌の犠牲、どちらを選びたいんだ?」

そんな、二者択一、答えは決まっている。

「もちろん・・・・・・」

孫策が、宣言しようとした瞬間、

「張悌っ。逃げろ!!逃げてくれ!!」

と、戦場に沈瑩の悲痛な叫びが響き渡った。

戦場では、完全に切れた毋丘倹が剣を高らかに掲げ、彷徨い歩いている。

「ぐっふっふっ。一番、知力の高い奴は誰だぁ〜。知力の高い奴は何処だぁ〜。」

そして、張悌と目があった毋丘倹は、ニヤリと笑みを浮かべた。

「みぃ〜つけた〜。」

反らすことなく、毋丘倹を静かに見つめ返す張悌へと、凶刃が振り下ろされる。

斬り付けられる直前、張悌の視線が一瞬だけ、沈瑩を捕らえた気がした。

「・・・さらば・・です。」




慌てて、城の外に出た孫策が見たのは、上がった武力に任せて意気揚々と進軍する毋丘倹と

肩を落として、立ち尽くす沈瑩だった。

しまった、間に合わなかったか・・・だが、起きてしまったことは、仕方ない。

孫策は、沈瑩の肩を叩き、進軍を促す。

「張悌が、身を挺して作った機会、無駄にはできん。一気に攻めあがるぞ!!俺について来い!!」

沈エイはハッと顔を上げると前を見据える。

そうだ、張悌の撤退を無駄にするわけにはいかない。

お前がその身を挺して突破口を開いたのなら、俺はこの命尽きても、必ず落城してみせる!!


そして、張悌の撤退によって、一念発起した沈瑩によって、見事城は落とされたのである。




城が落ちるなり、沈瑩は一目散に、自城の張悌の元へと駆け戻った。

横たわる張悌は、もともと悪い顔色を更に青ざめさせている。

額を伝う汗をそっと拭うと、傷に触れないようにふわりと張悌を抱きしめた。

「お前のおかげで、城が落とせたし、孫策様と周瑜様の鮮烈な戦姿も眩しくて目が眩んだ。でも・・・俺は・・・・・・」

お前と共に戦場を駆けたい。所詮夢で終わっても、お前と歩みたいんだ。だから、早く起きてくれ。」

眠り姫の目覚めを促すように、沈瑩は張悌へと触れるだけの口付けを落とした。





一方、城門から中の様子を窺がっていた孫策と周瑜は、甘〜い雰囲気に、完全に入るタイミングを逸してしまった。

しばらく、待つか・・・と城壁に身体を預ける周瑜に、孫策が覆いかぶさる。

じゃあ、俺達も〜vVっと首筋から鎖骨へと接吻を降らせながら、抱きしめた。

あからさまな意図を伴って、下肢に這わせた手が・・・・

「いてっ、い、痛いっ!!いてぇってばよ〜こうき〜ん!!」

思いっきり、周瑜の指で抓られていた。

「ここで、待つとは言ったが、ここでヤルと言った覚えはないぞ。」

睨む周瑜に、負けじと孫策は食らい付く。

「じゃあ、接吻だけ!!ならいだろう?」

「・・・・・・・・」

疑いの眼差しを向ける周瑜の顔の両横に、手を付き閉じ込めた。

戦による高揚感と、先ほど見た、沈瑩と張悌の接吻に触発され、

腕の中に閉じ込めた、最愛の男に、むしゃぶり付きたい衝動が込み上げる。

孫策は、諦めたように目を閉じた周瑜へと、衝動のまま、息も絶えんばかりの口付けを仕掛けていった。

・・・・公瑾が、城の外であることを、忘れてしまえばいい・・・・










あの・・・ごめんね。張悌。斬らなくてもイベント出るって気付かなくて。
「意外と、可愛いvとかって言ってたのに、周瑜の代わりになら容赦なく斬るんだ〜
斬らないと、計略効果ショボいけど、イベントは出るのに」って、人に指摘されて、初めて気付いた馬鹿です。

計略は正しく把握しましょう!!って反省中に浮かんだネタだったりv








inserted by FC2 system