遠呂智軍に敗北し、孫堅を捕虜にとられた。

呉は遠呂智の属国となり、反乱軍の討伐を命じられている。

逆らえば、孫堅がどうなるか分からない。

今は遠呂智に従うしかない。

そう説いた者たちの言うことが分からないわけではない。

だが、黄蓋はそんな悠長に構えていることなどできなかった。

従いながら、殿を取り戻して反旗を翻す機会を窺う?

その、機会とやらはいつ来るんだ?

今日明日ではないだろう?

一月後か・・一年後か・・・・・・

そんな長い間、殿を遠呂智の魔手に委ねることなど、絶対に出来ん!!

皆は気付かなかったのか?

遠呂智が殿に対して見せる、異常な執着を。

切欠は、殿が遠呂智に一太刀浴びせた時だと思う。

「面白い。」

と呟いた遠呂智の視線は、その後は殿だけを追っていた。

きっと遠呂智は、あの瞬間に殿の魅力に惑ったに違いない。

他の者には目もくれず、殿を追いつめるのを楽しんでいた。

殿を手中に収めた時には、「これで、我の物だ。」と悦に浸っていた。

だから、殿が置かれている状況が、とても危ういものに思えてならない。

呉軍には、殿以外にも囚われの身の武将が複数いる。

その武将らを人質に、遠呂智が殿の意に染まぬことを強要する可能性だってある。

ああっ、こうしてはおれん!!一刻も早く、殿をお救いせねば!!

短慮だと、罵られたとて構うものか。

黄蓋は、居ても立ってもいられず、単身で呉軍を飛び出した。



北に城があると聞けば、殿が囚われていないか様子を見に出かけ、

西に反乱軍がいると聞けば、情報収集のために参戦し、

東に貴人が囚われているという情報を得れば、殿ではないかと駆け付け、

南に遠呂智軍が出てきていると知れば、敵将を捕えて殿の居場所を聞き出せないかと挑みかかった。



しかし、全てが空振りに終わり、彷徨えども彷徨えども、殿に辿りつくことができない。

「殿・・・殿ぉ〜。いずこにおわしますか!?」

今日も、宿将の悲しい呼び声が、荒野に響いていた。













やっと、オロチの呉軍以外のシナリオもプレイしました。
魏軍シナリオは、堅パパを探し求めて、から回る黄蓋が面白かったですvV












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