バン!!
自室に戻ってきた周瑜は、いつになく乱暴に扉を閉めた。
静まり返った部屋に、扉の閉まる音に続いて、周瑜のイライラを現すように、足音が響き渡る。
ズンズンと寝台まで歩み寄った周瑜は、気持ちを落ち着かせようと横になった。
伯符が浮気をしようとしていた・・・のではないことぐらい分かっているのだ。
寝ているところに、不意打ちでしかけらた接吻だということも・・・・
しかし、君理殿はどういうつもりだったのか?
もしや、伯符のことを・・・・・
先ほどは、怒りに任せて焼き払ったが、もやもやとした感情はいまだ晴れない。
孫策の言い分を聞いて、はっきりさせたいが、
今、話しても、感情的になりすぎてこじれるだけだろう。
問いただすならば、もう少し冷静になってからでなければ・・・
取り合えず寝てしまおうと、頭まですっぽり覆うように上掛けを引き上げる。
しかし、目を閉じても、朱治と口付けを交わす孫策が頭から離れない。
考えないようにしようと、すればするほど、鮮明に浮かぶ不快な情景に、
怒りを通り越して涙が滲む。
制御しきれない、己の感情に振り回されていた周瑜の耳に、次第に大きくなる足音が聞こえてきた。
足音は周瑜の部屋の前でピタリと止まる。
扉の向こうの気配に、周瑜は息を詰め、出方を窺がう。
ドン!ドン!ドン!
「公瑾!!いるんだろう?」
扉を叩く孫策の声に、寝ているふりで周瑜は答えを返さない。
まだ、波立つ感情を抑えきれていないのだ。
感情に任せて、伯符に醜く当り散らしてしまうかもしれない・・・
頼むから・・・今は入ってくるな!!
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