「お〜い。公瑾!返事してくれよ〜!!」

扉の前で、周瑜を呼ぶが、一向に返事がない。

焦れた孫策は、扉へと手を掛けた。

「いるんだろ!?入るぞ!!」



部屋のなかに、踏み込むと、寝台にこんもりと山が出来ていた。

周瑜はこちらに背をむけ、頭まですっぽりと上掛けをがぶっている。

「公瑾・・・・・」

呼びかけても全く反応がない。

寝ている?ってわけないよな。

これだけ、近くで騒がれて、寝ていられるわけないか。

起きているはずだ・・・ならば、聞いてくれてさえいれば・・・



孫策は寝台へとゆっくりと歩み寄りながら、言葉を紡ぐ。

「さっきは悪かった、お前に不快な想いをさせて」

微動だにしない周瑜を見つめながら、更に近づいていく

「分かってるとは思うが・・俺が望んだ接吻じゃないぜ!?

 俺も驚いたんだ。お前が来るのを待ちながら、夢の中で、なんだよ〜お前から接吻してくれるのかよ〜って幸せに浸ってたところで、

 いきなり、灼熱の炎だろ?しかも、意識が覚醒したら目の前にいるのは、お前じゃなくて、君理だし・・・」



側まで来た孫策は、寝台へ腰掛ける。

ギシリっと音を立てる寝台に、周瑜の肩が思わず震えたような気がした。

「でも、俺が油断しすぎだった。寝てたとはいえ、お前以外の奴と接吻して、

 しかも、それをお前に見せてしまうなんてな。

 お前が、怒るのは当然だ。

 もう、絶対にこんなことはしないし、こんな想いもさせねぇ!!

 だから、許してくれないか? なぁ〜公瑾・・・」



孫策は、するりと上掛けをすべり落とすと、横顔を覆っている髪を掻きあげ、

耳元で囁いた。なぁ〜公瑾・・・許してくれよ・・と。

耳元に落とされる囁きに、周瑜は瞼を震わすも、瞳は堅く閉じられたままだ。

しかし、頑なな横顔を見つめていた孫策は、目尻に滲む涙に気付くと、拭うように接吻を落とした。

そのまま、横顔に接吻を降らせる。

しかし、瞳はギュッと閉じられたままだ。

頼むから・・・俺を見てくれよ・・・・





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