翌朝、周瑜は孫策の部屋へと向かっていた。
午後から、今回のヴァージョンアップに関する軍議が開かれる予定なのだ。
できれば、午前中にすっきりさせたい。
その時、部屋の扉が開き、孫策が出てきたのが見えた。
「はく・・・ふ・・・」
だが、呼びかける周瑜の声をかき消すように、朱治が孫策へと駆け寄る。
「若〜!!ちょっと、今から買い物に付き合ってくださいよ〜」
「はぁ?なんで、俺がお前と!?」
腕に纏わりついてくる、朱治の頭を、グイグイと押しやっている。
朱治はあからさまに嫌そうな態度を取る孫策の耳元で囁いた。
「付き合ってくださらないなら・・・・若が私と接吻したって、言っちゃおっかな〜」
げっ!っと孫策の顔が引きつり、
慌てて周囲を見渡す孫策の視線が周瑜を捕らえる。
ば、ばれたら・・・やばいよな・・・・
さすがに周瑜には聞こえないように抑えた声で、朱治に反論する。
「でも、俺が強引に接吻したってんなら話は別だけどよぉ〜何で俺がお前に脅されなきゃなんね〜んだよ!!」
「そ・れ・は、若には、ばれると困る相手がいるからですよ〜ふふふ〜残念ですねv」
「口止め料、荷物持ちを半日なんて、安いものでしょう?」
「くっ・・・・・・しかたねぇ〜付き合ってやるぜ」
じゃあ、早く行きましょうよ〜っと腕を引く朱治を取り合えず振り払い、
先ほどから、すこし離れた位置で立ち尽くしている周瑜を呼んだ。
「おはよう。公瑾!!俺に何か用か??」
どうしたんだよ??ぼ〜っとして・・・何か、昨日から変だぞ!?
と、歩み寄ると周瑜の顔を覗き込んだ。
「いや・・・・何でも・・」
緩く首を左右に振りながら答える周瑜の頬に手を沿え、視線を合わせた。
否との答えとは裏腹に、物言いたげな瞳が孫策を見つめている。
「俺に、言いたいことがあるんじゃないのか?」
優しい声音で尋ねるが、何でもないんだ・・・と周瑜は頑なだ。
何でもないようには見えないぞ?と孫策が言葉を重ねようとした瞬間。
ぐいっと強い力で、腕が後ろへと引っ張られた。
「若〜早くしてくださいよぉ〜!!」
少々ご立腹らしい、朱治が孫策の腕に纏わりついてきた。
「もぉ〜半日しかないんですから〜さっさと行きましょうよぉ〜vV」
朱治は、孫策に甘えながら、いつまで若を引き止めてるんだよ!!っと周瑜を睨む。
「・・・・いいから・・・・行ってくれ・・・」
周瑜に背を押され、しぶしぶ歩き出す孫策の腕を更に朱治が引く。
孫策は、周瑜の物言いたげな様子に後ろ髪を引かれながらも、ズルズルと朱治に引っ張られていった。
立ち去る2人の背が見えなくなると、周瑜の唇からため息が漏れた。
・・・昨夜までは、悩みながらも、確信があったのだ。
伯符が私から、離れることはないと。
昨日のことを、問いただせば、言い訳と謝罪が返ってくる・・もうしないから許してくれよぉ〜と
情けない声で縋ってくれるだろうと思っていた。
だが・・・・その自信がガラガラと音を立てて崩れていく。
甘えるような朱治の態度が、私を牽制するような視線が、
ふんっ、若は、もうお前だけのものじゃないんだよ!!とあざ笑っているように感じる。
そして、私の存在に気付きながらも、
2人だけで交わされる囁きに、秘め事の雰囲気を漂わせる光景に、疎外感のみではない、痛みを感じた。
しかし、このようなことで取り乱してはダメだ。
私の望みは??伯符の役に立ちたい、伯符を支えたいと・・・・そう思っていたはずだ。
それは、今も変わりはない。
戦場で役に立つだけではなく、伯符の心の支えにもなれることが、嬉しかった。
だが、伯符が他の者に、と望むのなら・・・無駄に争って煩わせたくはない。
伯符が望む形で、役に立てれば、本望だ。
午後までに、気持ちを切り替えなくては・・・・
続きへ
えっと・・・・すみません!!(なんか謝りたい気分)
これ、”意外な周瑜編”ですから・・・・・(言い訳)
でも、あと2回ぐらい、いじめの重ねがけしちゃおっかな〜なんてvV
↑でも、無駄に長くなりすぎますね〜
ああ、どうしよう・・・好きな人をいじめるのって楽しい・・・