「はぁ・・・・人選を誤りましたかな・・・」
張昭がため息を漏らした。
孫策が盗賊狩りに失敗し、投入した兵糧が全て無駄となったのだ。
「すまん。俺としたことが・・・・」
意気消沈した様子の孫策が周瑜に謝る。
が、微妙に視線が合っていない。
制止を振り切り、強引に行った盗賊狩りでの失敗に、あわせる顔がなのだろう。
凹んでいる孫策に、努めて軽い調子で元気付ける。
「気にすることはない。盗賊狩りなど、戦の前の準備運動に過ぎないだろう?」
「でも、貴重な兵糧を無駄にしちまった。」
「あの程度の兵糧、3連戦すればすぐにでも取り戻せる。」
「公瑾・・・怒ってないのか?」
孫策と、やっと視線が合った。
「失敗したことを怒ってはいない。伯符が無事に帰ってきてくれて良かった。」
ふわりと周瑜が微笑むと、孫策にも笑みが戻る。
失敗したとはいえ、兵糧以外の損失は兵士達の士気の低下ぐらいだ。
それも、孫策が戦場での勇姿を示せば直ぐに上昇するはずだ。
「この後の戦では、伯符の活躍を期待していいのだろう?」
「ああ、任せとけ!!」
いつもの意気を取り戻した孫策と共に、周瑜は戦場へと向かう。
盗賊狩りには、共に行くことは出来ないが、
戦場ならば、共に出陣することが出来る。
これからが本番だ。必ず勝利を引き寄せてみせよう。
周瑜の決意と共に、戦場への扉が開いた。
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