出陣を控えた周瑜は孫策・周泰・太史享と共に訓練場に集まっていた。

今日は、孫策の計略効果が上がってから初めての出陣となる。

武力が+14になった。

情報としては認識しているし、その効果の程を生かすための戦略だって事前に何度も話し合った。

でも、その効果を初めて体感できる。

そう思うと、心が沸き立った。

隣に立つ孫策も、早くこの力を試してみたくてうずうずしているようで。

孫策のやる気が伝染するように、全体の士気が上昇していくのを感じた。





そんな中、ふらりと孫堅が訓練場にやってきた。

「策よ。これから出陣か?」

孫堅が出陣前の部隊を激励に来ることは、稀ではない。

デッキ編成、計略効果、周囲の戦況など変化がある度に、気にかけてくださる。

やはり今回気になるのは、孫策の計略のよう。

「そう言えば、お前の計略はずいぶん効果が増したらしいな。」

興味深々で聞いてくる孫堅に、孫策が胸を張る。

「おう。武力+14だぜ!!すげぇ〜だろ。」

「ふむ。それはすごい。ちょとここで見せてみろ。」

「いーぜ。」

孫策は、孫堅の望みを軽く受け入れる。

「お前らもよ〜く見とけよ!!」

集まっていた面々に対して、ニヤリと笑みを浮かべると、訓練場の中央へと移動し、気をタメ始めた。

円形状に周囲から孫策へと光が集まる。

戦場でいつも見ている光景のはずなのに、目が引き付けられる。

周泰も太史享も背後に控える兵士達も。

この訓練場に集ったもの全員が孫策を見つめている。

たった1カウントのタメ時間。

一瞬のはずなのに、皆の視線を引き付けるには十分な時となる。

「ふっとべやぁ〜〜」

孫策の気合の声とともに、空気が爆ぜるように揺れた。



シュン、シュン、シュン、シュン、シュン、シュン、シュン

空気を切るような効果音と、赤い闘気(オーラ)をまとった孫策がいた。



その圧倒的な武力に、周囲から歓声が上がった。

「ほ〜。圧巻だな。」

「だろ?」

感嘆のため息を漏らした孫堅に、孫策が自慢気に答える。

周瑜は、周囲の歓声や孫堅と孫策のやり取りを聞いてはいたが、どこか遠くのことのように感じ、

ぼ〜っと孫策の姿を目で追っていた。

「どうだよ?公瑾!!」

そう言って、孫策が周瑜へと近づく。

一歩近づくごとに、ピリピリと肌に感じる孫策の気が強くなる。

周瑜は、孫策が纏う赤い闘気に触れるように手を伸ばした。

実態のない気は手をすり抜け、触れることはできない。

だが、それをなぞるように手を動かす。

「公瑾?」

伸ばした手を孫策に掴まれ、ハッと我に返った。

どうやら、孫策の圧倒的な力に見惚れてしまっていたようだ。

「ははっ、惚れ直したか?」

楽しそうに、孫策が聞いてくる。

「さあ・・・どうだろう。」

答えをはぐらかして、掴まれた手を引こうとしたら、逆に孫策に強い力で引き寄せられた。

武力が4倍の相手から逃れることなど不可能で。

そのまま、孫策の腕の中に閉じ込められてしまう。

周瑜がどんなに力を込めて孫策の胸を押し返してもビクともしない。

「なぁ、素直になってもいいんだぜ。」

孫策が耳元に唇を近付けて囁く。

「この距離なら、他には聞こえねぇ。」

「あっ・・・伯符・・」

孫策が周瑜の耳朶を食んだ。

「公瑾。素直になれよ」

孫策はしつこく答えを迫るが、まだ望む答えを告げるには早すぎる。

「そうだな・・・戦での目覚ましい活躍を見れば、惚れ直すかもしれないな。」

周瑜がそう答えたのとほぼ同時に、効果時間が切れて孫策の武力が10に戻る。

そして、なんとか孫策の腕の中から抜け出すことが叶った。

周囲を見渡すと、訓練場に集った者たち全員の視線が自分と孫策に向けられている。

衆目の中で、繰り広げてしまったやりとりを思い返すと羞恥心がこみ上げてくる。

これ以上、訓練場に留まることができず、周瑜は逃げるように戦場へと向かう。



「よっしゃぁ〜。これから戦場で、何度でも惚れ直させてやるぜ!!」

そう宣言すると、孫策も周瑜を追って、意気揚々と戦場に向かった。






Ver.3.12で、素敵に上方修正された孫策へ愛をこめてv
















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