サブICの品が上がったことを口実に、祝宴が開かれた。
時間の経過と共に宴は無礼講の様相を呈し、臣君入り乱れて酒を酌み交わす。
そんな状況の中、周泰は早々に孫権につかまっていた。
ニコニコと上機嫌な孫権の周りに、凌統、陸遜などの若い武将達が集う。
周泰はその輪の片隅で、進められるままに酒を飲み、当たり障りなく受け答えをしていたが、
その意識の大半は、身体を支えるように背後に付いた、左手に注がれていた。
ちょうど、背後に座っている周瑜の長い黒髪が、周泰の左手に触れているのだ。
周瑜の動きに合わせて、そのしなやかな髪が周泰の左手を撫でる。
周泰は息をひそめて、左手が感じる周瑜の髪の感触を追いかけた。
もっとも敏感な性感帯と化した左手が、不用意に震えないように細心の注意を必要とした。
指の間に入り込んだ髪の先端が指の股を擽り、手の上を通り過ぎていく。
まるで、捕えてみろと誘うように、悪戯な軌跡を残す。
いつの間にか、手のひらはじっとりと汗ばんでいた。
決して相手に意識されることのない触れ合いなのに、心の中まで擽られているよう。
鼓動が高鳴り、指の先端まで脈打つ血潮を感ずることができた。
「ああ・・・・」
思わず漏らしたため息を、酒を流し込むことで紛らわせた。
密やかな愛撫に、じっと耐えるのはもう限界で、身体が欲求にしたがって、じわりじわりと動き出す。
床に張り付けたままだった、小指を慎重に動かすと、そっと髪に小指を絡めた。
一筋の髪を人知れず捕えただけなのに、手に入れた事実に満たされた。
小指にからむ髪のように、意識の全てが周瑜に絡め取られていくように感じる。
しかし、それは一瞬の出来事で、軽く絡めただけの髪は、周瑜の動きに伴って、するりと逃げて行ってしまった。
指を折り曲げ、喪失感に耐える。
だが、その時に感じた僅かな抵抗に、ちらりと視線を向けると、細い髪の毛が一本、小指に絡みついて留まっていた。
思わぬ置き土産に、喉が震えた。
”ああ、公瑾どの”と感嘆の声を発することなく飲み込み、気付かれぬように必死に息を潜める。
周泰がその細い戒めを絡めたままの左手を、再び床に縫いとめると、周瑜の長い髪がまた悪戯を仕掛け始めた。
不規則に施される触れ合いを享受し、沸き起こる欲求に耐える。
周泰は宴の喧騒の中で、一人密やかな快楽に酔っていた。
周泰は不意に触れた周瑜の髪の感触にドキドキしました。
ってだけの、話なので・・・・・
短いですが、プラトニックラブ?を目指してみたつもりです(笑)