漢軍孫堅は、天啓孫堅に酒でも飲まないか?と誘われた。
自ら誘うことはあっても、今まで天啓のから誘いを受けたことはなかった。
珍しいこともあるもんだと思ったが、二つ返事で迎え入れた。
「漢軍の、最近、朱治となにかあったのか?」
互いに程良く酔いが回った頃、天啓孫堅がそう切り出してきた。
「なんだ?俺と朱治ちゃんのことが気になるのか?」
「ああ、喧嘩でもしたのかと思ってな。」
確かに、”大っ嫌い”と言われても、構わずからかい続ける俺に対する朱治ちゃんの対応は、かなり冷たい。
しかし、天啓の目の前で、朱治をからかったことはなかったはずで、
いつの間に、俺達の険悪さを察知したのか不思議だ。
それだけ、俺と朱治ちゃんのことを気にしているということだろうか?
「喧嘩ってより、俺が嫌われてんだよ。”大嫌い”って言われてるしな。」
「何故?」
「そりゃ・・・・・」
漢軍孫堅は、天啓孫堅の肩に手をかけると、その場に押し倒す。
さしたる抵抗もなく、天啓孫堅を組み敷くことがかなう。
「お前に」
天啓孫堅の唇に、己の唇を重ねた。
迎えるように開いた、口内に舌を差し入れ絡め合う。
「・・・んっ・・・・ぁ・・漢軍の・・・・」
天啓孫堅が、気持ち良さそうに、甘い吐息を漏らす。
互いに満足するまで、口付けを交わした後、相手の顔がぼやけずに見える距離で見つめ合った。
「こういうこと、してるってばれたからさ。」
「そうか・・・・俺との関係を清算したいか?」
唾液で濡れた天啓孫堅の唇を指で拭うと、その指先を舌で舐められた。
言葉に反して、更なる交わりを誘っているような仕草。
俺がこの関係を終わりにするなんて、これっぽっちも思っていないに違いない。
「まさか、朱治ちゃんとは、恋の好敵手っていう関係を存分に楽しんでいるところさ。それに・・・・・」
それに、俺にとってお前との関係は、もう簡単に清算できるものじゃない。
始めは興味本位だったはずなのに、一度味わったら次を欲さずにはいられなかった。
もっといろんなお前を見たい。
俺の腕の中で、艶やかな痴態をもっと見せてみろ。
まるで習慣性のある麻薬みたいに、身体を重ねれば重ねるほど、もっと欲しくなる。
「なんだ?」
「なんでもねぇ。」
途中で飲み込んだ言葉をごまかすように、再び唇を重ねた。