周瑜は、鏡の前で自分の髪を手にとってみた。
己の髪の色に特に不満があるわけではないが・・・
伯符の、銀色の髪は日の光にキラキラと輝いて、とても綺麗だと思う。
う〜ん。どうしたものか・・・・。
なにやら、考え込んでいる周瑜の手には、怪しげなガラスのビンが握られていた。
「お〜い。公瑾。入るぞ!!」
孫策の訪れに、思考を中断させた周瑜は、手の中のビンを卓へと置くと、振り返った。
だが、孫策の視線はビンへと向かっていて、
「なんだよ?これ??」
見るからに怪しげな液体に、興味をそそられているようだ。
「髪の色が抜けて、金髪になる薬らしい。」
「へぇ〜。面白いものがあるもんだな。どこで手に入れたんだよ?」
「無双オロチの周瑜から。黒髪を金色に染める染料などあるのかと聞いたら、試してみろと渡されたんだ。」
孫策は、ビンを手に取り、眺めていたのだが、
・・・・・ちょっと、待てよ!!試すって、何で試すつもりなんだ?
ま、まさか自分の髪で試すつもりなんじゃ!?
それは・・・それだけは・・・・
「駄目だ!!絶対に駄目だからな、公瑾!!」
いきなりの駄目出しに、何がだ?と問うような視線を感じ、慌てて言い直す。
「お前の髪で試すってのは、駄目だからな。絶対に!!だって、もったいないだろう?」
「・・・確かに、派手すぎて私には似合わないかもしれないが・・・・・・他に試したい相手でもいるのか?」
もったいないの意味を誤解した周瑜が、ちょっとムッとしているように見えた。
おお??嫉妬かぁ〜。可愛いなぁ〜っと思いながらも、誤解を解いてやる。
「違うって、お前の”結ってもあとが付かない程、芯からしなやか”な髪が痛んじまうだろ。」
なんだその、謳い文句のような形容は。
「だが、伯符の髪が、日の光で輝いて、とても綺麗だから・・・・・一度ぐらい試してみてもいいかとな。」
絡まりにくい髪質は重宝しているが・・・と己の髪へと視線を移した。
その動きに誘われるように、孫策の手が伸び、サラサラと髪を梳く。
う〜ん。俺の髪を気に入ってくれてるのは、嬉しいが、俺だって、お前の白い肌に掛かる、しなやかな黒髪が好きなんだ。
それは、絶対に譲れねぇ!!
「せっかくの、綺麗な髪なんだから、手を加えるのは、もったいないじゃないか。」
惜しむように、髪に口付ける孫策に、
伯符が気に入ってくれているならば、変えてしまうのは確かに勿体無いと思う。
だが、折角手に入れた珍しい品だ。誰かに、試してみたい。
「・・・・・幼平に・・・・ならどうだろう。」
ポソリと呟いた周瑜の言葉に、孫策の目がキッラーンと輝いた。
「幼平なら、多少派手になっても、布で隠れるしな。実験には丁度いいじゃないか!!」
俺の公瑾の、美しい黒髪の保護のため、ここは幼平に犠牲になってもらおう。
「思い立ったが、吉日だぜ?」
片手にビンを、片手で周瑜の手を掴むと、周瑜の気が変わらないうちにと、
周泰の部屋へと向かっていた。
それから、数ヶ月、どんなに寛いでいても最近頭を覆う布を取ろうとしない周泰に、
もしかして・・・遂に、生え際の後退が始まってしまったのか?
まだ若いのに、憐れな・・・との憶測が軍内で飛び交っていたという。
無双オロチのモデル2周瑜をみて・・・・
折角のアジアンビューティーな黒髪を。もったいないよぉ〜
万が一、赤壁周瑜様が興味しめしたら、孫策が全力で阻止するに違いない!!って思って書き始めたのですが、
落ちが付かなくなってしまったので・・・・
結局、周泰に犠牲になってもらいました。
彼は、やっぱり困った時のなんとかさんですねvV