周瑜は途惑っていた。

えっ?ここなのか??

秘湯だとは言っていたが、想像とは余りにも異なる光景に二の足を踏む。

すでに服を脱ぎ捨てた孫策は、湯に足を踏み入れているが、

目の前にあるのは、人一人が通るのがやっとの狭い洞窟だ。

中から湧き出しているのか、先に入った孫策は腰のあたりまで、湯に浸かっている。

月明かりが差し込み、手前の方は見えるが、奥は真っ暗だ。

このようなところに、入っていっても大丈夫なのだろうか?と不安が過ぎった。



夕暮れ時に、周瑜の部屋に孫策がいきなりやってきたかと思うと、

「なあ、温泉に行かないか?近場ですっごい秘湯を見つけたんだ」

と満面の笑顔だ。

最近、疲れが溜まっていた周瑜は、良い景色の温泉でも見つけたのか?

秘湯ということは、他者の目を気にせずにゆっくりできるのだろうと、

快諾したのだったが・・・・・



なぜ、始めにどのような所か聞かなかったのか?

このような、怪しげなところとは・・・・

孫策の誘いに軽々しく乗ってしまった自身を少々悔やむ。

なかなか、入って来ない周瑜に焦れた孫策が

「早くしろよ!公瑾!!」

と手を差し伸べている。

ここまで来てしまったのだ、

伯符は前にも来たことがあるそぶりだったし・・・

二人ならば、何かあったところで、大丈夫だろう。

いざとなれば、この身で伯符を守れば良いことだ。

周瑜は覚悟を決めると、髪を纏め上げ、服を脱ぎ落とすと、孫策の手を取った。



湯に足を踏み入れると、少々ぬるめだが、長時間浸かるのならば、丁度よい湯加減だ。

真っ暗で何も見えぬ洞窟の先へと、ためらいもなく歩んで行く孫策に手を引かれ、

周瑜は恐る恐る足を進める。

でこぼこと起伏のある水底に足を取られそうになる度に、ギュッと強く握り返される手に支えられる。

ほぼ見えぬ視界の中に浮かぶ頼もしい背中にドキリとした。



しばらく歩みを進めていると、暗闇に慣れてきた視界に、ぽっかりと円形の空間が飛び込んできた。

人の背丈の2倍ほどの高さと、5〜6人がゆったりと浸かれるほどの広さがある。

「すっげ〜だろ!!」

孫策は周瑜に向かって、ニカリと笑うと、

岩肌に背を預けるように座り、肩まで湯に浸かってしまう。

周瑜もつながれた手はそのままに、隣に腰を下ろした。

確かに、囲む岩肌と包まれる闇で、人工的なものを一切感じない空間は

不思議な安らぎを感じる。

しばらく、無言で湯に浸かっていると、

ぽかぽかと温まる身体と、つないだ手から伝わる孫策のぬくもりが、心地よい。

周瑜はコトリと頭を孫策の肩に預けた。

孫策は可愛い奴〜と繋いだ手をギュッと握り締める。

安心したように目を閉じた周瑜は、あっという間に眠りに落ちてしまった。



完全に寝入ってしまった周瑜に、よほど疲れていたのかと思う。

起こさないようにと、

しばらくは、寝顔を眺めていたが、その愛らしさにムクムクと悪戯心が込み上げる。

つないでいるのとは、逆の手で、纏め上げた髪から零れ落ちる一房を撫で付ける。

こめかみから、頬へと撫でるように手を這わせ、

その美貌を色気を倍増させている、口元の黒子へそっと触れた。

そのまま、唇をなぞるように、指を滑らせるが、

起きる気配のない周瑜にもっと色々・・・と体勢を変える。

周瑜の背と膝裏に腕を通すと、孫策は、膝の上に横抱きに抱かかえた。

ふわり、と身体が浮く感覚に、周瑜はさすがに瞳を開くが、

足が底に付いていないため、浮力により漂う身体が安定しない。

何が起こったんだ?と途惑いながら、周瑜は咄嗟に孫策の首にしがみついた。

ふと、見上げると、得たりと微笑む孫策の顔が思いのほか近く、触れ合いそうな唇に、

慌てて腕を解こうとするが、そのまま引き寄せられる。

引き寄せられるままに、唇が触れ合い、重なり合っていく。

重なる唇がしだいに深まり音が漏れ始めると。

思いのほか響く音に周瑜は頬に朱を上らせた。

口付けを交わしながら、孫策は膝の上に抱えた周瑜の身体に腕を回し、更に引き寄せる。

引き寄せられた拍子に、周瑜の腰にすでに昂り、存在を主張する孫策の下肢が当たった。

あっ・・と、一瞬身体を緊張させた周瑜に気付いた孫策は、

じゃあ、お前も・・・と周瑜の下肢に手を伸ばしてくる。

「ちょ・・・やめっ・・・・こんなところで・・・・・ぁ・・・・ぁん・・・」

施される愛撫に漏れる艶めく声が洞窟内で反響する。

周瑜は唇を噛み締め、必死に声を抑えようとするが、

「もっと、声を聞かせろよ。」

と孫策に耳元で囁かれ、耳にかかる息に身体をぞくりと震わせた。

俺達2人しかいないんだ、恥ずかしがることないだろう?と孫策は更に、愛撫を深めていく。

洞窟内には押し殺しきれない声と、波立つ水音が響き渡っていた。





温泉旅行中に妄想してた、温泉ネタの一部です。
今回行ったのは、屋内の温泉だったのですが・・・・
昨年に行った温泉(洞窟風呂)が面白かったな〜と思い出し、そちらを会場に??妄想しちゃいました。





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