「文台様!!軍議の開始時間が過ぎております。お早めのお越しを!!」

もう、昼近くになるというのに、今日は誰も孫堅の姿を見ていなかった。

しかも、軍議に遅れるなど、珍しい。

伯符ではあるまいし、まさか、寝坊など・・・と訝しみながら、周瑜は孫堅の部屋まで迎えに来たのだった。

声を掛けてしばらくすると、ゆっくりと扉が開いた。

「あっ・・・・・・・」

しかし、出てきた予想外の人物に、驚きに言葉を続けることが出来なかった。

「すまぬな。お前の主はまだ夢の中だ。」

扉に凭れるように立つ人物の発する邪悪な気に、気圧され後退さる。

魔王、董卓・・・・何故敵の大将が・・・・まさか・・・

「ふっ、お前の主はワシと存分に楽しんだ後ゆえ、お前の相手をする気力は残っておるまいて・・・

代わりにワシが相手をしてやろう。」

董卓は、驚きに目を瞠る周瑜の身体を引き寄せると、顎を掴みその美貌を堪能する。

「ほう。美しい子供だな。このようなのが、奴の趣味なのか。」

「なっ、違います!!離してください。」

抵抗を見せる細い体を開け放ったままの扉へと押さえつける。

「嘘をつけ。呉ではただの臣下が、主を字で呼ぶのか?」

「あっ・・・誤解です。・・・・・やめて・・・ください。」

首筋を辿る舌の不快感と、残虐な雰囲気に当てられ、拒否の言葉が掠れる。

ダブついた腹の贅肉を裏切るように、血管の浮き上がる腕の力は凄まじく、周瑜の抵抗などものともしない。

「大人しくしていれば、優しくしてやろう。」

太い芋虫のような指に、下肢を握りこまれ、恐怖に身が竦んだ。

・・・・嫌だ・・・・・イヤっ、助けてっ・・・伯符!!



「この者に手を出したら、お前を殺す!!」

地を這うような声音とともに、周瑜を押さえ込んでいた董卓の腕が緩んだ。

董卓の背後に立つ孫堅が、首筋に短刀を突きつけていた。

周瑜は、董卓の腕から抜け出し、距離をとる。

しかし、孫堅の姿を視界に納めた周瑜は、次の瞬間、頬を染めて視線を逸らしていた。

乱れた孫堅の夜着からは、あからさまな情事の跡が覗いている。

董卓は、周瑜の反応にニヤリと笑みを浮かべ、殺気立つ孫堅に振り返った。

「ワシが、子供に本気で手をだすと思っているのか?

取り乱すほど、大事かコレが。まあ、確かに見目は美しいがな・・・」

「下衆な勘繰りをするな。息子のような者だ。」

「ならば、その子供の前に、この扇情的な姿をさらしても良いのかな?」

董卓の掌が、孫堅の内腿に伝う残滓を塗り広げるように愛撫する。

動揺に揺れた短刀が首筋に傷をつけるのにも動じずに、双丘を掴み夜着の上から秘所を探った。

「あっ・・・・」

「ワシを誘っておるのか?ならば、この子供の前でもう一度犯してやってもよいぞ。」

「董卓っ!!」

怒りと羞恥心に任せて斬り付けた孫堅の刃を、その巨体に似合わぬ瞬発力で交わした董卓は余裕の笑みを浮かべて庭に降り立つ。

「ふふっ。なかなかの美酒であった。また、可愛がりに来てやろう。」

「二度と来るな!!この、魔獣がっ!!」

孫堅の拒絶に笑みを深めると、董卓は悠々と立ち去っていった。




「公瑾!!塩を撒いておけ!!」

憤りが収まらぬままに孫堅が言い捨てた。

「は、はい・・・」

戸惑いを浮かべる周瑜に、ハッと我に返った孫堅に苦笑が浮かんだ。

「巻き込んですまなかったな、公瑾。悪いが、軍議の開始を一時間遅らせると伝えてくれ。」

「あの・・・」

「なんだ?」

言いよどむ周瑜を促すように、できるだけ穏やかな笑みを浮かべた。

「軍議は明日に延期してはいただけませんか?」

「何故だ?」

「文台様は・・・・・」

「俺がどうした?」

「あっ、いえ・・・私が、本日は冷静に献策する自信がございません。」

そうか、俺が奴に対して冷静な判断が出来ぬのではと、案じてくれたか。

確かに、俺にもその自信はないな。

「わかった。では、明日にしよう。それと、このことは・・・・」

「お望みとあらば、他言は致しませぬ・・・・・・ですが、”程公にも”ですか?」

「ああ。・・・・・・いや、伝えて構わない。どのみち、俺の様子を直接確かめに来るだろうしな。

ある程度伝えて、他の者達を丸め込むのは任せてしまえ。」

「では、そのように。」

投げやりな調子のなかに、程普に対する信頼が伺える。

自然と、周瑜に笑みが浮かんでいた。

だが、歩き出した周瑜の背に向かい、孫堅がからかいの声を掛ける。

「間違っても、策には言うなよ〜」

「なっ、言えません!!」

真っ赤になって言い返す周瑜を、可愛いなぁ〜と見送ると、孫堅は寝台に倒れこんだ。

酒と薬に酔った体を、あの魔獣は散々に弄んでくれたのだ。

頭痛と倦怠感で立っているのも辛かった。

周瑜の心遣いをありがたく感じながら、孫堅は深い眠りへと堕ちていった。





頬に感じたぬくもりに、意識が浮上した。

ゆっくりと目を開くと、見慣れた大きな掌が頬を包み込むように添えられていた。

「お目覚めですかな?殿。」

「ああ・・・」

「昨夜のお相手は、敵の大将だったようですな。」

「・・・・・・・・・・・」

「和姦ですかな?それとも、強姦ですかな?」

程普の顔には笑みが浮かんでいるのに、目が笑っていなかった。

「・・・・・どちらとも言えぬな。」

「ほう?敵と定めた相手に、薬で惑わされて弄ばれても、殿の認識では、和姦になりますのかな?」

げっ、眠りに堕ちる前に、証拠隠滅したはずなのに、何故そこまでバレているんだ!?

視線を逸らした孫堅の思考を読み、程普がため息を漏らす。

「公瑾が、怪しい包みが残っていたと申しておりましたが。」

「うっ・・・・す、進んで寝台に招き入れたつもりはないが、死に物狂いで抵抗した覚えもないな。」

唐突に、程普の両手が顔の両横に叩きつけられ、真正面から睨まれた。

「あのような男を易々と受け入れてくださいますな!!」

「何をそんなに怒っているのだ?珍しい。

今まで、他の者を誘っても怒りを露わにしたことはなかっただろう?」

「我等、臣下は所詮は殿の物。ですが、他国の者が、それもあの魔王が相手など。」

苦々しく吐き出した程普に、孫堅は笑みを浮かべた。

「俺が奴の物になるかと恐れたか?ふふっ、だが、悪くない。」

「何ですと!?」

「お前の妬心を引き出せたのならば、魔王に抱かれたのも悪くないと言っている。」

「このっ・・・」

何がしかの、罵りが続く筈であった程普の唇を、孫堅の口付けが塞いでしまう。

「ふふっ。お前の嫉妬は心地よい。もっと、俺に見せてみろ。」

「後悔しても知りませぬぞ!!」

程普は一応念を押すと、いつにない荒々しさで孫堅の唇に喰らい付いた。









R董卓のカードを眺めていたら、何故かムクムクと董卓×パパネタが・・・
ですが、私がパパ受けを書くと、結局は、程普×パパに落ち着く模様(笑)
最初は、程普に、パパを迎えに行かせる予定だったのですが、
さすがに、董卓と程普の直接対決は恐ろしかったので、周瑜様に緩衝材になっていただきました。
周瑜様が素直に怯えていらっしゃるのは、10代なイメージだからです。
ってか、ガン見したら、魔王董卓・・・予想以上に恐ろしい容貌で、私が怯えてたりして・・・
R董卓にしたのが悪かったのか?SRのほうがまだ・・・
でも、董卓はRのイラストの方が好きなのだものv

あと、閨での董卓は”魔獣”らしい(笑)












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