10コス大会で、孫策は、周瑜・孫堅・程普・黄蓋・韓当と出陣することになった。
この布陣が決定した時、孫策は己の成長を孫堅に認めてもらう、千載一遇の好機に思えた。
よぉ〜しこの戦、雄飛の時で敵を蹴散らして、蹴散らして、蹴散らしまくってやる〜
親父に頼ってばかりじゃいられねぇ。
いつに増して気合の入った孫策とともに、戦場への扉が開いた。
しかし、そこは10コス大会・・・8コスでの戦に比べて全体強化の威力が増している。
孫策は、勢い勇んで戦に望んだが、
いつもは雄飛でしのげる英傑号令には、ほとんど歯が立たず、
質実号令にすら押し負ける始末。
唯一、蹴散らせたのは車輪の大号令だけというお粗末な結果だった。
「くっそぉ〜、次の戦こそっ!!」
とめげずに挑もうとする孫策に見かねた周瑜が声を掛けた。
「待ってくれ伯符。何をむきになっているんだ?」
「どうしてもこの機会に、親父と程普・黄蓋・韓当に、俺の戦ぶり見せたいんだよ。」
「気持ちは分かるが、この大会では、全体強化に単体超絶強化で対抗するのは無謀だ。
私の大火で焼き払うか、2〜4人天啓で蹴散らすのが上策だぞ。」
「だが、今、俺の活躍を親父達に・・・・・」
周瑜の諫言を聞き入れる余裕無く、更に言い募ろうとしたが、
バシッと小気味良い音が響き、頬を両側から挟みこむように叩かれた。
ハッと目が覚めたように視界が開け、
心配に染まった周瑜の表情に初めて気付いた。
「一度冷静になってくれ。活躍の場は、雄飛で全体号令をしのぐだけじゃないはずだ。
雄飛は単体強化には十分有効だし、雄飛の時に拘らなくても、
文台様との天啓中にだって、素武力での立ち回りでだって幾らでも活躍を見ていただけるだろう?」
今度は、孫策の中に素直に周瑜の言葉が入ってきて、焦り過ぎていた自分に気付かされる。
周瑜と視線を合わせると、頬に添えられたままの手に己の手を重ねた。
「・・・・・・・悪い。俺は、焦りすぎちまってたみてぇだな。」
「伯符・・・・」
「公瑾・・・・」
戦闘開始前の城内で、甘い雰囲気全開で見つめ合う孫策と周瑜に、
「お前達は、いつも仲が良いなぁ〜」
と孫堅がからかいの声を掛かける。
「何言ってんだよ親父。今更だろ?」
孫策は、慌てて離れようとする周瑜を抱き寄せ、ニッと笑みを浮かべた。
「次の戦こそ、本当の活躍をしてみせるぜ!!」
更にやる気を漲らせた孫策の目前で、再び戦場への扉が開いた。
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