出陣前の兵錬場で、急に孫策がそわそわし出した。
何を言い出す気なのか・・・とても嫌な予感がした。
「公瑾!!盗賊狩りに行ってくるぜ。」
そう言って、馬に飛び乗った孫策を、慌てて追いかけた。
マントの裾を掴み、今にも走り出しそうな孫策を引き止める。
「待ってくれ。大事な戦の前に、無茶をするな。」
「俺を誰だと思ってんだ?盗賊ごときに遅れを取るわけねぇだろ。」
「だが、万が一と言う事がある。」
「大丈夫だって。俺を信じて任せてくれよ。」
制止する周瑜の横で、孫策隊の兵士達が次々に兵糧を運び出していく。
すでに、準備万端整えている様に、今更止めても無駄であることを悟る。
兵糧にも余裕があり、成功すれば兵達の士気も上がる。悪い選択ではない。
だが、掛けの要素が大きいこの討伐に率先して挑む立場でないと自覚して欲しい。
できれば、周泰あたりに命じて欲しいが、
”こんな楽しいこと、他の奴に譲れるか!!”と言うのは目に見えている。
止めても無駄ならば、私に出来ることはもう、これぐらいしかないか・・・
「仕方がないな。成功を祈っているよ。」
そわそわと落ち着かない孫策から、ため息とともに手を離した。
「おう。任せとけって!!」
意気揚々と盗賊狩りに向かう孫策を見送る。
その頼もしい後姿に、周瑜は盗賊狩りの成功を疑うことはなかった。
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