孫策は手の中でクルクルと長い髪を弄びながら、軍師周瑜をじっと見つめていた。

軍師周瑜は、ぼんやりと弄ばれている己の髪を見ている。

数度躊躇うように唇が震えた。

「・・・・・喧嘩を、したわけじゃない。」

「そうなのか?てっきり、俺の前に単身姿を見せたのは、奴へのあてつけかと思った。」

軍師周瑜の重たい口を軽くしてやろうと、わざと茶化すように続けた。

「まあ、それも・・多少は・・ある。」

「ふ〜ん。」

「序盤の一騎討での勝利を折角褒めてやったのに、

R周瑜が可愛かっただの、守りがいのある奴だよな〜だの、デレデレ、デレデレと!!

奴との一騎討ちがそんなに嬉しいか!?楽しかったのかと、少々、不満はあったからな。」

一度滑り出した文句は、だんだん勢いを増し、いつの間にか軍師周瑜の眉間には深いシワが寄っていた。

「うんうん。それはSR孫策が悪い。公瑾が可愛いく見えちまうのは仕方ないとして、お前に言うことねぇよな〜。」

孫策が同意を示すと、更に勢いを得たように、軍師周瑜が言い募る。

「しかも、軍師に徹しきれないから一騎討ちが発生するのも、知力10になったのに計略威力は弱体化してるのも、

この武力インフレ時代にコス2で武力6なのも・・・可愛いからありかも〜などと、能天気に言ったんだあの男は!!

例え、僅かでも他に惑うとは許せん。私に、私の陣略に魅せらていると、私が必要だといつも言っていたくせに。」

「ああ、許せねぇな。でも、可愛いからって、公瑾を舐めてると痛い目みるぜ。」

うんうん。と頷くだけだった孫策からの反論に、軍師周瑜の不満の嵐が途切れた。

「・・・・・それは、先ほどの我が軍のようにか?」

「まあな。」

「ふんっ。私の話を聞き流すから、ごっぞり焼き払われるんだ!!(怒)」

しかし、それは更なる嵐の前の静けさだったようで、軍師周瑜から次なる憤りが噴出する。

孫策は、憤りを露わにする軍師周瑜を眺めながら、まるでコイツの陣略みたいだと思った。

華やかさと、美しさと、恐ろしさとが織り成す絶妙な魅力が人を引きつける。

孫策は、背後の陣略の炎がひと際激しさを増したように錯覚した。

「少々浮かれていたから、油断してまとめて焼き払われないように気をつけろと釘を刺したのに、

なんだ?妬いてるのかよ〜って見当違いでニヤニヤと笑ってるからこうなるんだ。」

「いや・・・妬いてるってのは見当違いじゃな・・・・」

「違う。ただ妬心から言ったのではないぞ。その油断が伯符の危機を招くのではないかと心配だったから・・・」

「そう・・か。」

「私の気も知らないで、結局全員撤退だ。この戦場に私の陣略だけ残してどうするつもりか。

私だけをぽつんと残して撤退してしまうなんて、ひどい男だ。」

「それは、ひどいな。」

孫策は陣略の炎に包まれるのにも構わず、軍師周瑜へと一歩踏み出した。

グイッと軍師周瑜の身体を引き寄せ、抱きしめる。

「ごめん。公瑾。」

軍師周瑜の耳元でそっと囁いた。

それは、SR孫策の代わりに軍師周瑜に謝ったのと、軍師周瑜を抱きしめていることを、俺の公瑾に謝ったのと両方の意味がこもっていた。

腕の中の軍師周瑜は一瞬、孫策の胸に顔を埋めたが、直ぐにスルリと抜け出していく。

しかし、腕から抜け出した軍師周瑜は、すっきりとした表情をしていた。

「ふふっ。ありがとう・・・と、言っておこうか。」

軍師周瑜は美しい笑みを残し、丁度切れた陣略の効果と共に、城内へと戻っていった。











つづきへ






ちょっと脱線してますが、最後にはR孫策×R周瑜に戻ると思います。












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